西陣

山名宗全の陣地

西陣は京都の北西部にあり、大宮今出川をほぼ中心とし、東は堀川通より西は千本通まで、北は寺之内通より南は一条通におよぶ広い地域をいい、古くから織物生産地として知られています。西陣の地名は、京都に詳しい人でなくとも知れ渡っていますが、行政上の地名ではなく、また道路標識に用いられることはありません。しかし、学校や企業、施設の名称に付けられるので、この地域を歩けば西陣の範囲が分かると思います。

西陣

この文字は西陣中央小学校の標札をトリミングした

西陣の歴史

西陣の地名はよく知られている通り、応仁の乱に西軍の山名宗全がこの地に陣を構えたことから生じました。一方、細川勝元の東軍は、堀川より東(犬馬場・西蔵口・小川・一条)に陣しましたが、東陣の名は早く亡び、西陣のみが地名として残っています。応仁の乱は歴史的に有名な戦乱で、日本人なら誰でも知っていると言っても過言ではありません。有名な割にはどうして戦乱に至ったのか、その結果どうなったのかよく分からないのが実情です。後醍醐天皇が鎌倉幕府から治世の実権を取り戻そうとし、それに足利尊氏が荷担して乱を起こし、結果として室町幕府ができたとか、関ヶ原の戦いのあと徳川家康が豊臣の勢力を一掃し、江戸幕府出来たような事象はありません。足利尊氏が興した室町幕府は、成立したいきさつから幕府の政治基盤は弱く、細川氏・斯波氏・畠山氏・山名氏などの管領家が常に勢力争いをしていました。畠山氏、斯波氏の家督争いから、細川勝元と山名宗全の勢力争いに発展した戦乱は、足かけ11年に及び、京都の街が灰燼に喫しました。ただでさえ弱い幕府の権力基盤は、この戦乱でなお一層弱くなり、やがて戦国の世に繋がるようになります。

首途八幡宮

首途八幡宮の本殿屋根は唐破風が特徴的

西陣の地が機織り業の地になったのは平安時代からで、朝廷が設置した織部司の織手達が律令制の衰退後、大舎人座を組織し、もっぱら上流階級の織物を産するようになって以来のことです。応仁の乱で一旦途絶えますが、天正年間に豊臣秀吉が庶政を一新し、民業保護に奨励を加えたことにより、再びこの地に機織り業が盛んになるようになりました。当初からこの地が産する織物は豪華な装飾でしたが、それに拍車が掛かったのは江戸時代からです。幕府の保護と対明貿易によってもたらされ豪華な織物に刺激され、加えて能・茶の湯の興隆にともなって大いに栄えるようになりました。しかし第二次世界大戦後、服装の洋風化に伴って着物を着る人が少なくなり、それに比して西陣で機織りをしている家や職人が減少していきました。かつては街中に響き渡った機織りの音は、ほとんど聞こえなくなり、路地に軒を連ねる家々には空き家が目立ちます。

西陣の散策

西陣紋屋町看板

今でも時折ホーロー製の町名標識の看板を見かけることがある

冒頭にも記した通り、西陣と呼ばれる地域は東は堀川通より西は千本通まで、北は寺之内通より南は一条通におよぶ広い地域を指し、僅かな文章では西陣全ての地域を紹介しきれません。ここでは中心部である大宮今出川付近を紹介します。今出川大宮東に京都考古資料館があります。この施設は1979年(昭和54年)に開設されたもので、京都市内の埋蔵文化財を展示公開し、普及・啓発を図ったものです。旧西陣織物館を譲り受けて改装し、展示施設としています。建物自体は三階建てですが、展示は二階までを利用しています。入館は無料です。広いとは言い難いですが、京都を掘るとどういったものが出てくるのか、よく分かります。また過去の研究結果を纏めたMOOKを販売しています。市民講座なども開設されるので、興味のある人は、ホームページを閲覧されてはいかがでしょうか。

西陣路地裏

西陣の路地裏には空き家が目立つ

智恵光院通今出川を北に歩くと、首途八幡宮があります。首途と書いて「かどで」と読ませます。正式名称は内野八幡宮といい、元は大内裏の旧地に祀られていたと伝えられています。現在の地に移転された時期は不明です。真偽は不明ですが、一説には奥州の金売り吉次の屋敷跡と言い伝えがあります。金売り吉次とは、牛若丸が奥州に旅立つ際にお供をした人物で、実在したかどうかはよく分かっていません。関連した情報が「蹴上」にありますので、それも参考にして下さい。当社は金売り吉次の邸内鎮守社といわれ、1174年(承安4年)に牛若丸と吉次が奥州に旅立ったのはここからと伝えられ、それに因んで「首途八幡宮」と呼ばれるようになりました。大宮今出川付近を散策すると、かつて西陣織を家業としていた家々を目にします。しかし今では多くの家はヒッソリとしていて、物音が聞こえてきません。空き家になっている家も多く、他府県から引っ越してきた若い人が住んでいたりします。それも時折機を織る音が聞こえてくることがあり、今でも西陣織の産地であることを認識させてくれます。

アクセス

大宮今出川周辺

上記内容は2019年3月に取材したときのものです

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